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zoom RSS 【読書メモ】クロード・シモン『農耕詩』

<<   作成日時 : 2012/03/06 10:12   >>

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クロード・シモン『農耕詩』(芳川泰久訳、白水社)読了。

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クロード・シモンは第2次大戦後に活躍したフランスの作家で、「ヌーヴォーロマン」という文学潮流の中心人物でした。
1985年にはノーベル文学賞を受章しています。

ひとつの対象を描写していたはずが、連想によっていつの間にか別の事柄が焦点化されている、といったふうに何ページにもわたって蛇行する文章や、記憶の中に唐突に入ってくる「意識の流れ」の手法など、古今東西の小説家の中でおそらく最高の技術を誇るクロード・シモンの作品は、そのぶん非常に複雑で難解でもあるのですが、僕はこの人の小説がとても好きなのです。
特に1989年に発表された『アカシア』は、とんでもなく感動的な作品で、僕がこれまで読んだあらゆる小説の中でいちばん好きです。

シモン自身は2005年に他界しましたが、
このたび(2012年1月)、後期の大作小説『農耕詩』(1981年発表)が翻訳され、出版されたのです。

もちろん買いました。

おそろしく複雑な小説です。
フランス革命時にヨーロッパじゅうで戦争をして回った「将軍」と、その子孫で第2次大戦中に過酷な体験をした男(クロード・シモン自身を思わせる)と、スペイン内戦に義勇兵として参加したジャーナリストの3人が、同じ「彼」という三人称で指示され、彼らのエピソードが時間の順序を無視して混ぜ合わされながら語られてゆくのです。

シモン自身の体験をもとにした戦争の描写は、相変わらず凄い迫力ですし、
「将軍」の子孫の没落、「将軍」の隠された家族の話など、とてもグッとくる場面は多いのですが、
それらのエピソードの有機的な繋がりという意味では、ちょっと弱かったかなと思います。
『アカシア』や『フランドルへの道』や『三枚つづきの絵』などに完全にヤラレた僕としては、少々不満でした。

これまでクロード・シモンを読んだことがない、という方には、最初に読むものとしては、オススメできません。
『フランドルへの道』か、できれば『アカシア』から読まれるとよいと思います。
シモンは、本当に素晴らしい作家ですから。
いまでは新刊書では、入手は困難だと思いますが……。

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