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zoom RSS 【読書メモ】『カミュ『よそもの』 きみの友だち』

<<   作成日時 : 2012/05/01 16:13   >>

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野崎歓『カミュ『よそもの』 きみの友だち』(みすず書房、2006年)再読。

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カミュの『異邦人』の読み方について、高校生に授業するように、分かりやすく語ってくれた本です。
たいへん平易な言葉で綴られていますが、そのぶんごまかしがなく、『異邦人』(野崎さんはこの題名を『よそもの』と訳します)の魅力を再認識することができます。

面白かった部分のひとつは、『異邦人』の語り口(の変化)の分析です。
僕自身これは疑問に思っていたのですが、「今日、ママンが死んだ」という有名な冒頭の一文からして、この小説の語り手はまだ「ママンが死んだ(はずの)今日」にいて語っているはずです。
けれども小説は日をまたいで語られてゆきます。
また、語り手であり主人公であるムルソーは、死刑判決を受けるのですが、じゃあこの小説はどの時点から回想され、語られているのでしょうか。
野崎さんはこの点を、つじつまあわせで推測するのではなく、「小説の基盤(語られたものとしての成立)の正当性を、わざと欠いた作品」というふうに読んでいます。

ほかにもいくつか面白い論点があり、『異邦人』というすばらしい作品を通して「小説というもの」について考えるうえで、かなり参考になる一冊でした。

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