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zoom RSS モルガン『古代社会』第三篇 第四章「対偶婚家族および家父長制家族」

<<   作成日時 : 2015/06/08 17:55   >>

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ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年)
第三篇 家族観念の発達
(テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年)

第一章 古代家族(概説)
第二章 血縁家族
第三章 プナルア家族
第四章 対偶婚家族および家父長制家族
第五章 一夫一婦制家族
第六章 家族と関係を有する諸制度の順列

まとめ

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第四章 対偶婚家族および家父長制家族

  4-1.対偶婚家族の仕組み (p257-p261)

「発見」時のアメリカ原住民(未開の前期)は、対偶婚家族の形態をもっていた。
対偶婚家族とは、プナルア集団が消滅し、一対の夫婦が家族を形成している状態のことである。
対偶婚家族においては、一対の男女間の結婚に基礎が置かれているため、子どもの父親がある程度画定し、また、子どもの存在が夫婦の結合を強めており、一夫一婦制の萌芽が見られる。
それでも、対偶婚家族は一夫一婦制家族とは違い、一夫一婦制家族よりも下位のものである。

一夫一婦制家族との違い(1) 対偶婚家族の弱さ
対偶婚家族は単独では生活上の困難を乗り越えられないため、一棟の家屋に数家族が入り共同世帯を構成しており、生活上は共産主義であった。

一夫一婦制家族との違い(2) 男女の結びつき
対偶婚における一対の男女は、恋愛ではなく便宜や必要から結婚した。
子どもの結婚は母親が決めた。
結婚は個人的事件というより、公的あるいは氏族的事件であった。

一夫一婦制家族との違い(3) 離婚・再婚の自由
結婚関係は、当事者の気の向く間だけ継続した。
夫も妻も、勝手に相手を追い出し、別の相手と結婚することができた。
夫婦が離婚しそうになったとき、夫と妻のそれぞれの氏族が介入して和解させようとしたが、和解に失敗すると、家の持ち主でない方が家から去った。
夫と妻の財産は区別され、離婚のときに持って出られた。

一夫一婦制家族との違い(4) 不平等な関係
イロクォイ族などの間では、妻の貞節は要求されたが、男子は多くの妻をもつことを許された。

一夫一婦制家族との違い(5) 排他的同棲の欠如

  4-2.対偶婚家族の発生 (p261-p263)

プナルア家族にはもともと、主要な夫、主要な妻がいたし、対偶婚も存在し、対偶婚家族に移行する傾向があった。
このプナルア家族が氏族制度と結びついて、対偶婚家族になった。(その事情が以下)

(1) 氏族制度が、プナルア集団の中で、結婚関係から氏族内の女性を排除。
(2) 氏族組織の存在により、人々は親族関係のない相手との結婚の利益に気づき、また、血族婚に対して嫌悪するようになって、その結果、一人の男性にとって妻となりうる女性の数が減少した。
(3) 男性が購買や略奪によって妻を獲得するようになり、そのための努力と犠牲から、妻は共有されなくなった。
(4) 氏族組織によって社会が進歩した。

  4-3.対偶婚家族のもたらした利益 (p263-p264)

対偶婚家族は、親族関係のない人々を結婚関係に取り入れたので、異なる種族の結合により、生まれる子どもは精神的にも肉体的にも強くなった。

  4-4.対偶婚家族の発達 (p264-p266)

野蛮状態にある人間の戦争よりも、未開状態にある人間の戦争の方が、武器の発達や誘因の強さのせいで破壊的なものとなり、その結果、男子が減って女子が過剰になった。
男女の数的均衡が崩れているせいで、集団的なプナルア婚が強化され、対偶婚の発達にある程度の歯止めをかけた。

しかし、植物栽培によって、地方への定住、技術の発達、家屋の改良などが進み、未開人の生活は理知的になった。
そのことで、一対の夫婦から成る家族が安定し、個人性が増大した。

野蛮状態と未開状態の境界において発生した対偶婚家族は、未開状態の中期および後期の大部分に渡って存続し、一夫一婦制家族への道を歩んでいった。
未開状態の後期に、未発達の状態の一夫一婦制家族が、対偶婚家族に取って代わることになる。

しかし、対偶婚家族はそれまでのテューラニア・ガノワニア式血族組織を改変する力をもたなかった。

  4-5.家族形態の進歩 (p266-p268)

家族形態の進歩は、一つの形態から次の形態へ一挙に完全に移行するといったものではないが、血縁家族から一夫一婦制家族へという進歩の主要方向は確実なものである。

  4-6.未開社会のサンプル (p268-p270)

野蛮社会(*)の研究にとって最上のサンプルはポリネシアとオーストラリアだが、未開の前期と中期の研究にとって最上のサンプルは南北アメリカの原住民である。
未開の後期のサンプルは、ギリシアとローマ、ゲルマン諸部族の歴史と伝説の中に見出される。
これらを研究することで、人類がほとんど同じ過程を経て進歩していったことが分かるだろう。
(*) 清末のもっている岩波文庫では、下巻p268の8行目の訳は「未開」となっているが、原文では「savage」つまり「野蛮」。

  4-7.家父長制家族 (p270-p272)

家父長制家族は一夫多妻制をとり、家父長権のもとに、奴隷や自由人を包含する多数の人々を一家族として組織した。
セム部族のヘブライ人は土地を所有し、羊や牛を飼育するために、この家族形態を採用した。
ローマ人の家族にも、同じような家父長権があった。
家父長制家族の形態によって、個人性が氏族組織の影響力を超え、一夫一婦制家族の確立を準備したが、しかし、家父長制家族は普遍的なものではなく、テューラニア・ガノワニア式血族組織を改変することもなかった。

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