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zoom RSS モルガン『古代社会』第三篇 第五章「一夫一婦制家族」

<<   作成日時 : 2015/06/09 18:38   >>

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ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年)
第三篇 家族観念の発達
(テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年)

第一章 古代家族(概説)
第二章 血縁家族
第三章 プナルア家族
第四章 対偶婚家族および家父長制家族
第五章 一夫一婦制家族
第六章 家族と関係を有する諸制度の順列

まとめ

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第五章 一夫一婦制家族

  5-1.一夫一婦制家族に関する従来の学説の誤り (p273-p277)

モルガンが『古代社会』を書いた当時、以下のような学説が支配的であった。
@ 人間の社会は家父長制家族から始まり、
A 近代になる前に家族制度は一夫一婦制へ移行し、
B その後に氏族組織が出現した。
C 一夫一婦制家族は社会組織の構成単位である。(家族<氏族<部族<民族)

しかし、上のような考えは間違いである。
・氏族組織の成立以後は、夫と妻は別の氏族に属するので、家族全体が氏族の中に入ることはない。氏族組織の単位は、家族ではなく氏族である。(→Cの否定)
・家父長制家族は野蛮時代にはまったく存在せず、未開時代の後期に例外的に生じたものでしかない。(→@の否定)
・氏族組織が出現してから長い時間を経て、文明時代が始まった後でやっと、一夫一婦制家族は恒久化した。(→AおよびBの否定)

  5-2.一夫一婦制家族の成立と父権 (p277-p278)

血縁家族プナルア家族の下では、父権はありえなかった。
  ↓
プナルア慣習の中から氏族組織が出現すると、姉妹はその子どもたちや女系の子孫とともに、氏族に固定的に所属することになった。
  ↓
氏族が社会組織の構成単位になった。
  ↓
プナルア慣習と氏族組織から対偶婚家族が徐々に発展し、そのことによって父権の萌芽が生まれた。
  ↓
社会の進歩とともに、家族形態の中で一夫一婦制へと向かう傾向が強くなり、父権が増大した。
  ↓
財産が多量に作り出され、それを子どもに継承させたいという欲望が人々の間に生まれると、出自が女系から男系へと変化し、父権の基礎が確立された。
  ↓
例外的な家族形態として、ヘブライ型およびローマ型の家父長制家族が形成された。
・ヘブライ型の家父長制家族……出自は女系。
・ローマ型の家父長制家族……出自は男系。
家父長制家族における父権は、家族を支配下に置くとともに、多数の人々を隷属させた。
  ↓
その後に、文明時代に入ってから、一夫一婦制家族が生じる。

  5-3.初期の一夫一婦制家族 (p278-p287)

初期の一夫一婦制家族については、以下の例がある。
(1) 古代ゲルマン人(タキトゥスの『ゲルマニア』)……各家族が単体では弱すぎ、奴隷制の中で消滅。
(2) ホメロス時代のギリシア人(ホメロス)……女性の地位が低かった。
(3) 有史時代に入ってからのギリシア人……結婚は文明的な「恋愛」によってなされず、必要と義務からなされ、女性は監禁されたり束縛されたりした。
(4) ローマの家族……女性の地位が低かった。
まとめると、古典古代の間には、一夫一婦制家族は完成には至らなかった。
ギリシアやローマにおける「淫蕩」は、道徳上の堕落ではなく、道徳の成立以前の状態である。
しかし、対偶婚家族からかなり進歩したとはいえる。

  5-4.アリアン式血族組織の成立 (p278-p291)

血族婚に基礎を置いた血縁家族から形成される親族関係を、マレイ式血族組織が表現し、
プナルア婚に基礎を置いたプナルア家族から形成される親族関係を、テューラニア・ガノワニア式血族組織が表現していた。
それと同じように、一夫一婦制家族から形成される親族関係を、アリアン式血族組織が表現している。

@ アリアン式血族組織をもつ部族が、それ以前にはテューラニア式血族組織を有していたこと、
A そしてそのテューラニア式血族組織が、一夫一婦制家族の成立によって失われたこと、
――これらのことは絶対的に示すことはできないが、以下の証拠から推論はできる。

証拠(1)
アリアン式血族組織を有する諸部族は、最初は氏族組織をもっていた。
氏族組織はプナルア家族に起源をもち、プナルア家族にテューラニア式血族組織が対応している。
したがって、アリアン式血族組織をもつ諸部族は、それ以前にはプナルア家族とテューラニア式血族組織を有していただろうと推定できる。

証拠(2)
アリアン式血族組織の親族名称の語彙は、抽象化された貧弱なものである。
一夫一婦制家族の確立により、テューラニア式血族組織の親族名称の語彙のうちのいくらかが不要になり、消滅したのだろうと考えられる。
一夫一婦制のもとでは、誰が子どもの父親かが確定されるので、すべての親族関係が特定され、どんなメンバーでも基本語(父と母、兄弟と姉妹、息子と娘)の組み合わせで記述することができる。
アリアン式血族組織とは、一夫一婦制家族の成立がテューラニア式血族組織を改変した結果生じた、記述式血族組織なのである。

  5-5.アリアン式血族組織の仕組み (p292-p299)

アリアン・セム・ウラル式血族組織による親族組織の記述方法の中で、最も科学的に完全なものは、ローマ法学者が相続に関する法律を完成させるために採用したものである。
方法の簡単さ、記述の適切さ、系統および支系の配列の明確さ、親族名称の美しさにおいて、ローマ式の記述方法は比類がない。
直系と傍系の区別の明確さ、自己に対する各人の親族関係の明確さは、一夫一婦制における親子関係の確実性によって保証されている。

  5-6.結婚形態と家族形態と血族組織 (p299-p300)

@結婚形態とA家族形態とB血族組織は、
・@血族婚/A血縁家族/Bマレイ式血族組織
・@プナルア婚/Aプナルア家族/Bテューラニア・ガノワニア式血族組織
・@一夫一婦制/A一夫一婦制家族/Bアリアン・セム・ウラル式血族組織
というふうに対応しており、@ABのうちのどれか一つが認められれば、他の二つも存在したことは推論される。
その中でも、証拠として最も重要なものはB血族組織である。

  5-7.家族形態の継次的発展 (p300-p301)

以上の論述によって、家族形態が5つの形態をたどって継次的に発展したことが説明された。
文明国においては家族形態は一夫一婦制の段階にあるが、さらに社会が進歩し変化したとき、それにともなって家族形態も変化するに違いない。
一夫一婦制家族は、少なくとも両性の平等が達成されるまでは、さらに改善されるだろう。
文明が絶え間なく進歩すると仮定すると、遠い将来に一夫一婦制家族が社会の要請に沿わなくなったとき、どのように変化するのかを予言することはできない。

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