安部公房『砂の女』あらすじの表(1)エピグラフ~第一章

安部公房『砂の女』
小説に書かれていることを、表のように整理しました。
あらすじとしてご参照ください。

【2020年5月9日追記】
この作業にもとづいた論文「小説という名の実験―安部公房『砂の女』論」を、文芸批評・文学研究の雑誌『文学+』第2号(凡庸の会、2020年)に掲載しています。
当該雑誌は1200円+送料です。下記フォームよりご注文ください(在庫切れの場合はご容赦ください)。
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万が一、注文してから1週間以上、確認の連絡などが来なかった場合は、bonyou.org@gmail.comにご連絡ください。
【追記終わり】

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■■■ テキストの性格 ■■■
【【章】】
【節】
● 時間
▼ 出来事や行動。
▽ 出来事や行動以外。思考や過去の話など。
※ 備考。

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画像


■■■ エピグラフ ■■■

「――罪がなければ、逃げるたのしみもない――」

■■■ 本編 ■■■

【【第一章】】

  【1】

● 「八月のある日」からその7年後まで

▼ 男が一人行方不明になる。
▼ 男の失踪の理由について憶測が飛び交う。
▼ けっきょく何もわからないまま、七年後に死亡の認定をうける。

  【2】

● 1日目:昭和36年(1961年)8月10日(木)

▼ 男がS駅のプラットホームに降り立つ。
▼ 終点までバスに乗る。
▼ 海の方を目指して歩く。
▼ 小さな部落に行き当たる。
※ 「事実、危険を予知させるものなど、まだ何もなかった。」
▼ 目指す砂丘にたどりつく。

▽ 男の目的は、砂地にすむ昆虫の採集。
男はもともと、昆虫の新種の発見を目標にしていた。
他の昆虫には住めないような環境に住む昆虫を探していた。
ある日、家の近くの河原で、変わったハンミョウを見つけ、とりこになった。
砂への関心、砂の定義。
男は定着を厭い、砂の流動に心ひかれるようになった。

  【3】

▼ 男は自分の足もとだけを見て砂丘を歩く。
▼ 砂の穴の下にある家を見つけ、カメラをかまえると、足もとの砂が流れ、危険を感じる。
▼ 部落の老人に声をかけられ、自分が昆虫採集に来た教師であることを明かす。
▼ 泊まるところを世話してもらう約束をする。

  【4】

▼ 収穫がないまま日が暮れる。
▼ 組合事務所で老人と会う。
▼ 砂の穴の中の家に案内してもらい、縄梯子で降りる。
▼ 迎えてくれた女に好感を持つ。
▼ 風呂に入りたいと言うが、「明後日にして下さい」と言われる。
※ 「それに、間もなく、水あびなどがなんの役にも立たないことを、いやというほどおもいしらされることになったのだ。」
▼ 傘をさしての食事。
▼ 砂が木といっしょに腐るという話を聞き、苛立つ。
▼ 女の家族の話。女の夫と娘は、前年の大風のとき砂にのまれて死んだ。
▼ 女の笑いをみだらに感じる。

  【5】

▼ 村の者が砂掻きの道具を持ってくる。
▼ 女は砂掻きを始める。
▼ 男は一服しつつ、砂の中で「半分死にかけている」家を眺める。
▼ 土間におりて水を見つける。口をゆすぎ、顔を洗って首すじを拭く。
▼ 外に出て、女に声をかける。
▼ 女にくすぐられる。
▼ 砂掻きを手伝うことにする。
▽ 女との会話の中で、女の心にたどりつく通路を垣間見た気がする。女の肉体に興味を抱く。

  【6】

▼ 家のまわりをぐるりとすべて砂掻きすることを聞かされる。
▼ 「砂掻きするためにだけ生きているような」生活に呆れ、夜逃げでもすればよいと言うが、話にならない。
▼ 砂掻きをやめて寝ようとするが、眠れない。
▽ 「女をしばりつけているものへの嫉妬」や女の肉体への欲望を疚しく思う。
▽ 「義務のわずらわしさと無為から、ほんのいっとき逃れるために」砂丘へやって来た。
▽ 都市や大帝国を亡ぼした砂。
▽ 砂の上の船の町。
▼ まどろむ。

  【7】

● 2日目:昭和36年(1961年)8月11日(金)

▼ 昼近くに目をさます。
▼ 砂におおわれて眠っている裸の女を見る。
▼ 水を飲む。
▽ 同じ鉱物である砂と水について考える。
▼ 小屋の外に出ると、穴の上に上がるための縄梯子が消えている。
▼ 砂の壁をよじのぼろうとするが、できない。
▼ 小屋に戻り、女を起こして問いただすが、女は返事をしない。
▽ 「蟻地獄の中に、とじこめられてしまったのだ。うかうかとハンミョウ属のさそいに乗って、逃げ場のない沙漠の中につれこまれた、飢えた小鼠同然に……」
▼ また小屋の外へ出て、叫ぶ。砂のひさしがくずれ落ちる。
▽ ちゃんと制度に登録されている人間を、鼠か昆虫のようにわなにかけて捕えることが、許されていいものだろうかと考える。
▽ ここは日常の約束事の通用しない、特別の世界なのだろうかと考える。
▼ 小屋の中に戻り、女をどうしたものか悩む。

  【8】

▼ 外で小便をする。
▼ 昆虫の「擬死態発作」のような麻痺状態。
▼ 小屋へ戻り、女をもう一度問いつめようと思う。

  【9】

▼ 女を問いつめ、自分を解放するよう要求するが、聞き入れられない。

  【10】

▼ 女は食事の用意をする。
▽ 男は食事を受け入れるか悩むが、結局受け入れることにする。
▼ 食事。
▼ 砂の穴の中の家にこだわる女を、自分の毛屑に執着する犬にたとえる。
▼ 女は天井裏の砂おろしをする。
▼ 男は外に出て、脱出のために砂の壁をなだらかにしようとする。
▼ 理論的な思考 → 失敗。「頭の中にえがいていた、あの単純な幾何学的プロセスとは、何処かがひどく食い違っている」
▼ 模型を使っての実験 → 失敗。「模型とは、別な法則が働いているのかもしれない」
▼ 砂の穴の上から部落の者たちに見られていることに気づく。
▼ 砂の傾斜を変えるための「仕事」に必死で取り組む。
▼ 砂の壁に突進し、おしつぶされて気を失う。