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zoom RSS 『唐版 風の又三郎』 あらすじ

<<   作成日時 : 2018/10/03 09:05  

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唐十郎 『唐版 風の又三郎』(1974年)

・登場人物の設定 → 『唐版 風の又三郎』 登場人物の設定
・劇のストーリー以前の設定 → 『唐版 風の又三郎』 設定のまとめ

【注意】 以下、唐十郎の『唐版 風の又三郎』のストーリーを記述します。観劇の予定がある方などで、いわゆる「ネタバレ」を避けたい方は、ご観劇のあとにお読みください。なお、ストーリーの解釈や場割りは、筆者の清末が独自に行ったものです。

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壱幕 ガラスのマント

〔プロローグ〕
代々木・月光町に建つテイタン(帝国探偵社)の建物の奥に、謎の小学校(死んだ自衛隊員の遺体を安置する場所であることが、あとでわかる)がある。
その教室では教授が、青白いフヌケの生徒たち(死んだ自衛隊員であることが、あとでわかる)に対して授業を行っている。
そこに風が吹き、黒い影が現れて、「風の又三郎」を名のる。歌が歌われ、プロローグは終わる。

〔第1場〕
以後、場所はテイタンの建物の前(壱幕終わりまで)。
大学生老婆を背負って現れ、竹竿を振り回して暴れる。
その騒ぎを聞きつけ、テイタンの中から、探偵(というよりは秘密警察だが)の三腐人乱腐淫腐珍腐)が姿を現す。
大学生は、ものを食べず空腹の限界に挑戦しているのだと言う。三腐人は、ものを食べるよう大学生を説得することを試みるが、大学生は拒絶しつづける。
やがて三腐人はテイタンの中へと姿を消し、大学生も老婆を背負って退場する。

〔第2場〕
織部という男が登場する。彼は幼少期に住んでいた月光町をしばらく離れていたが、久しぶりに帰ってきたところらしい。
ふと強い風が吹き、織部の前に、白いタートルネックのセーターに背広を着た少年が現れる。織部が見たその姿は、幼少期をともにすごしたイマジナリー・フレンド(想像上の友だち)である「風の又三郎」にそっくりだった。
織部は少年を「風の又三郎」と呼び、少年も織部に対して又三郎としてふるまう。又三郎はしばらく織部の話につき合ったのち、テイタンの中へと退場する。
(又三郎がテイタンに入っていったのは、「民生員」に会って家族の生活保護を申請するためだったのだと、あとでわかる。もっとも、その目的自体が、本当の目的のカモフラージュにすぎないのだが)

〔第3場〕
ひとり残された織部の前に、不気味な夜の男が姿を現す。夜の男は、テイタンの鶏を殺し、すぐに姿を消す。
(夜の男は、物陰からことのなりゆきを覗いているらしい。鶏を殺したのは、自分の旧友の教授がいるはずのテイタンの様子を探るためだろうと考えられる)
テイタンから三腐人が出てくる。彼らは、鶏を殺した犯人は織部だと決めつけ、追い詰めていく。
しかし突然、老婆を背負った大学生が乱入してきたおかげで、織部は逃げおおせる。
三腐人はテイタンの中に戻る。大学生と老婆は、三腐人に殴られて地面に転がる。

〔第4場〕
テイタンの中から又三郎が現れ、老婆と会話する。
続いて、テイタンの中から教授が現れ、自衛隊のLM-1型練習機を乗り逃げした「高田三曹」について、又三郎と話をする。
老婆の孫にして高田三曹の弟、大学生の兄であるらしき又三郎は、「民生員」を兼ねる教授に対し、生活保護を求めるが、次第に、又三郎の本当の目的が別にあることがわかってくる。じつは又三郎は、死んだ高田の肉を探す女であり、その肉があるらしきテイタンに侵入するため、老婆の孫になりすましていたのである。
そこに夜の男が現れ、旧友であるらしい教授とじゃれたのち、又三郎を「エリカ」と呼んでしつこく求愛する。夜の男は、又三郎すなわちエリカを追って、宇都宮から東京へやってきたのであった。
エリカは逃げ、夜の男や教授たちはテイタンの中へ去る。

〔第5場〕
スケバンの桃子梅子が通りかかる。
桃子はヒロポンを打たれ、快感を味わうが、梅子が注射器の針を折ると激怒し、売春してヒロポンの代金を稼ぐよう梅子に命じ、去る。
そこへ今度は、織部風の商人(風向計売り)とともにやってくる。風の商人は、なぜか織部にただで風向計を譲り、去っていく。
(この風の商人は、じつは織部の入院していた精神病院の宮沢先生であることが、あとで明らかになる。風向計をくれたのは、織部が病院の外で生きていけるか見守るため、発信器か盗聴器でも仕込んで渡したのかもしれない)
ひとりになった織部を梅子が誘っているところへ、教授夜の男三腐人が現れる。彼らは、テイタンは女人禁制だからということで、梅子を排除しようとする。
カミソリを手に抵抗する梅子を押さえつけると、夜の男は、梅子の顔を鶏のクチバシで切り刻む。
教授と夜の男と三腐人がテイタンの中へ入っていったあと、織部が梅子を心配して近づくが、目が見えなくなっている梅子が振り回したカミソリで、右耳を切られてしまう。
梅子は、自分の顔をつぶした男の耳を切ったと思い込み、その場を去っていく。

〔第6場〕
耳を切られた織部の前に、又三郎すなわちエリカが現れ、女としての正体を見せる。彼女は織部に、テイタンに侵入するための道連れになるよう依頼する。
織部が、精神病院から抜け出してきた男であることも判明する。
織部はエリカの求めに応じ、ともにテイタンに侵入する決意をする。

〔第7場〕
(壱幕のラストシーンは、弐幕の予告編である。劇のストーリーは、壱幕の第6場から弐幕の第1場につながるのであって、この壱幕第7場は、弐幕のダイジェストのようなイメージシーンだと思ったほうがよい)
織部とともに冥府のごときテイタン内部の謎の小学校に侵入したエリカは、そこにいる死者の高田に声をかけるが、高田に恋着する死の少年が、間に立ちふさがる。
また、梅子を連れた桃子がその場に乱入し、織部をつかまえて、梅子の顔を切った犯人だと決めつける。

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弐幕 紅いのマント

〔第1場〕
以後、場所はテイタン奥の謎の小学校。
教壇には白木の棺が置かれ、人形のように動かない航空兵の服装の生徒たち(自衛隊員の死体)がいる教室で、教授三腐人が学芸会の『ベニスの商人』のリハーサルを行っている。
白木の棺の中には、高田三郎三曹の肉が入っている。高田の肉は自衛隊によって回収されてそこにあるのだが、高田の血は「フライング・ソース」となり、今も空を飛び回っているらしい。教授は、その血を回収することを宣言する。

〔第2場〕
桃子梅子が、テイタン内に乱入してくる。
桃子は、梅子の顔を切った男に復讐してやろうと考えており、「そいつの耳を切ったんだ」という梅子の言葉を頼りに犯人を探している。
教授と三腐人は桃子と梅子を取り押さえ、夜の男も出てきて桃子を殴る。
桃子は教授と三腐人と夜の男に血を吹きかけ、梅子を連れて逃げる。
教授と三腐人は血に汚れた顔を洗うため、いったん退場。
夜の男は、ひとりで西田佐知子の「エリカの花散るとき」を聴き、エリカへの想いを独白したのち、退場。

〔第3場〕
航空兵の人形になりすましていたエリカ織部が、高田の肉を奪って脱出しようとする。
突然、幻想的な場面に。人形のようだった航空兵たちが立ち上がり、ただの肉だったはずの高田も、生前の姿になって棺から起き上がる。航空兵のひとり、死の少年が、高田と親密そうにする。
エリカは高田に声をかけるが、高田は、エリカがひとりで来なかった(織部を連れてきた)ことを咎めたのち、ただの肉に戻る。航空兵たちも人形に戻る。

〔第4場〕
夜の男教授三腐人が戻ってくる。
織部とエリカは人形のふりをするが、見つかる。
高田の肉を取り戻そうとする教授たちに対し、エリカは肉を返すまいとし、織部はエリカを守って戦おうとする。
そこにまたも桃子梅子が現れる。桃子は、耳が切られている織部を、梅子のかたきだと勘違いする。
織部と桃子がもつれている間に、教授たちに捕まったエリカは、奪われるよりはと、高田の肉を喰う。
教授たちは驚くが、気を取り直し、高田の肉を喰ったエリカの胸をえぐることで、高田の血を回収しようとする。
また、エリカを助けようとする織部も、桃子から左耳を切られる。

〔第5場〕
織部とエリカの危機に、伝説の戦闘機操縦士・樫村が、大学生老婆を連れて現れ、教授たちを止める。この樫村は、じつは織部の入院していた精神病院の宮沢先生が変装した姿であり、壱幕〔第5場〕に登場した風の商人でもある。
桃子は、夜の男こそが梅子のかたきであり、織部の耳を切ったのは間違いだったと知る。
樫村は、織部とエリカを連れてテイタンから出ようとする。
しかし、夜の男が、エリカに喰われてその体内に入った高田を殺そうと、エリカの胸を刺す。
織部は、瀕死のエリカの胸に吸いつき、その血を飲む。

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〔幕間劇〕
弐幕のしばらくあと。場所は病院。
胸の傷を手術したエリカの病棟に、織部が訪ねてくる。
織部は看護婦から、エリカが死んだと聞かされる。
(本当は、エリカは金を払わずに病院から逃げており、そのことに怒った看護婦が、腹いせにと織部に嘘を言ったのである)

参幕 蠟のマント

〔第1場〕
場所は御茶ノ水駅前、電話ボックスが並んでいる。
呆然としている織部は、電話ボックスの中でうずくまる。
桃子梅子が通りすぎる。桃子は、間違えて耳を切った織部に詫びようと考えている。

〔第2場〕
教授三腐人新郎高田)と新婦死の少年)が通りかかる。結婚式の帰りらしい。
高田は教授たちによって洗脳されてしまっているらしく、飛行機と死を結びつけて考えるようになっている。
(死んで肉も喰われた高田が、なぜここに登場できるのかは謎だが、ひとつの仮説としては、弐幕と参幕の間に、テイタンが「フライング・ソース」と呼ばれる高田の血を回収し、そこからクローンのようにして体を再生させたのではないかと考えられる)
また高田は、弐幕の終わりでエリカの胸の血を飲んだ織部に、嫉妬してもいる。
彼らはみな、立ち去る。
(珍腐だけはその場に倒れたままになっているはずだが、このあとの場面では、いつの間にかいなくなっている)

〔第3場〕
御茶ノ水の町に響いた飛行機の爆発音を調査するために、自衛隊員たちがやってくる。
電話ボックスの中で眠っていた織部は、自衛隊員とトラブルになる。
自衛隊員たちが去ったあと、宮沢先生が現れて、織部を病院に連れ戻そうとする。
しかし織部は精神病院を批判し、町で生きる決意を語る。その言葉を聞いた宮沢先生は、織部を連れ帰ることを断念し、去る。

〔第4場〕
通りすぎる尼たちにまぎれて、エリカがやってきて、織部の前に姿を現す。
エリカは、過去に区切りをつけて織部とともに生きるために、自分の髪と織部の血を河に流す「おまじない」を行うつもりでいる。

〔第5場〕
教授三腐人がまた通りかかる。幻想的な場面になり、高田の幻まで、エリカの前に現れる。
高田はエリカを死の世界へと誘惑し、さらに、織部ののどを切るように命じる。
しかしエリカは、テイタンに洗脳された高田の誘いを振り切り、逆に高田ののどを切る。

〔第6場〕
場面が現実に戻ると、エリカが切ったのはその場にいた自衛隊員たちの顔だったことがわかる。
教授と三腐人、自衛隊員たちは、「人喰い女」とエリカを責める。織部はエリカを守ろうとする。

〔第7場〕
大学生老婆を連れ、夜の男が現れる。夜の男は、大学生と老婆に、肉親である高田の血の匂い(弐幕ラストで血を吸った織部の体から漂っている)を追跡させてきたのである。
夜の男と織部は決闘する。夜の男は、三腐人や自衛隊員たちと手を組み、卑怯な手を使って織部を刺す。
しかし、勝ったと思った瞬間、夜の男は桃子に刺され、倒れる。
人々が入り乱れる中、教授と三腐人はエリカの歯をすべて折って去る。

〔第8場〕
瀕死の織部に対し、こちらも重傷を負ったエリカが、「風の又三郎」になってみせる。
御茶ノ水の運河が割れ、失われたLM-1型練習機が現れる。

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