記憶を与える(太宰治『思い出』論)

記憶を与える――愛の物語としての『思い出』 ※ 太宰治『思い出』の内容の整理は こちら  太宰治の小説『思い出』(一九三三年)は、愛の物語である。かつて愛されていた者が、愛を失って成長したのち、今度は主体的に人を愛しようと試みて挫折する物語である。そしてその愛の主題に、記憶の主題が連動している。  『思い出』は三つの章…

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村上春樹「ドライブ・マイ・カー」について

 村上春樹の短編集『女のいない男たち』の劈頭を飾る「ドライブ・マイ・カー」は、周到な計算のもとに書かれた佳作である。  60代も半ばになる村上はこの作品で、自身がデビュー当時からもちつづけてきた主題に対し、現在の彼なりのやり方で正面から向きあっているといえる。  「ドライブ・マイ・カー」を通して私たちは、村上春樹とはどのような小説家…

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村上春樹『女のいない男たち』の「まえがき」について

 村上春樹の短編集『女のいない男たち』(文藝春秋、2014年)には、村上自身による「まえがき」が設けられている。  村上はこの「まえがき」の存在を、自分の小説にとっては例外的なものであるという。  「まえがき」の冒頭、そのことに言及した箇所をみてみよう。 長編小説にせよ短編小説集にせよ、自分の小説にまえがきやあとがきを…

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唐十郎『二都物語』について

  1 リーラン あたしを捨てたのね、あんた。 内田 その尖ったもので、私を刺し殺すつもりかい? リーラン そうすれば、あんたは生きかえってくれるでしょ? 痰壺を覗くときれいになるように。暗い夢を見ると過去が現在になるように。あたしのおまじないで生きかえらないものなんかありゃしない。兄さん、あんたは忘れたの? 湿った野…

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【まとめ】モルガン『古代社会』第三篇「家族観念の発達」

ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年) 第三篇 家族観念の発達 (テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年) 第一章 古代家族(概説) 第二章 血縁家族 第三章 プナルア家族 第四章 対偶婚家族および家父長制家族 第五章 一夫一婦制家族 第六章 家族と関係を有する諸制度の順列 ▼図表1(第三篇の…

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モルガン『古代社会』第三篇 第六章「家族と関係を有する諸制度の順列」

ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年) 第三篇 家族観念の発達 (テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年) 第一章 古代家族(概説) 第二章 血縁家族 第三章 プナルア家族 第四章 対偶婚家族および家父長制家族 第五章 一夫一婦制家族 第六章 家族と関係を有する諸制度の順列 まとめ …

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モルガン『古代社会』第三篇 第五章「一夫一婦制家族」

ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年) 第三篇 家族観念の発達 (テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年) 第一章 古代家族(概説) 第二章 血縁家族 第三章 プナルア家族 第四章 対偶婚家族および家父長制家族 第五章 一夫一婦制家族 第六章 家族と関係を有する諸制度の順列 まとめ …

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モルガン『古代社会』第三篇 第四章「対偶婚家族および家父長制家族」

ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年) 第三篇 家族観念の発達 (テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年) 第一章 古代家族(概説) 第二章 血縁家族 第三章 プナルア家族 第四章 対偶婚家族および家父長制家族 第五章 一夫一婦制家族 第六章 家族と関係を有する諸制度の順列 まとめ …

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モルガン『古代社会』第三篇 第三章「プナルア家族」

ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年) 第三篇 家族観念の発達 (テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年) 第一章 古代家族(概説) 第二章 血縁家族 第三章 プナルア家族 第四章 対偶婚家族および家父長制家族 第五章 一夫一婦制家族 第六章 家族と関係を有する諸制度の順列 まとめ …

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モルガン『古代社会』第三篇 第二章「血縁家族」

ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年) 第三篇 家族観念の発達 (テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年) 第一章 古代家族(概説) 第二章 血縁家族 第三章 プナルア家族 第四章 対偶婚家族および家父長制家族 第五章 一夫一婦制家族 第六章 家族と関係を有する諸制度の順列 まとめ …

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モルガン『古代社会』第三篇 第一章「古代家族」(概説)

ルイス・ヘンリー・モルガン『古代社会』(1877年) 第三篇 家族観念の発達 (テキスト=青山道夫訳、岩波文庫、1972年) 第一章 古代家族(概説) 第二章 血縁家族 第三章 プナルア家族 第四章 対偶婚家族および家父長制家族 第五章 一夫一婦制家族 第六章 家族と関係を有する諸制度の順列 まとめ …

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唐十郎『透明人間』について

唐組 第55回公演 『透明人間』 東京=新宿・花園神社 5月9日(土)10日(日)/15日(金)16日(土)17日(日) 6月6日(土)7日(日)/12日(金)13日(土)14日(日) 東京=雑司ヶ谷・鬼子母神 5月23日(土)24日(日)/29日(金)30日(土)31日(日) 長野=城山公園 6月19日(金)…

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【論文】『砂の女』と小説の地平 ―― 安部公房の小説について ――

『砂の女』と小説の地平 ―― 安部公房の小説について ―― 清末浩平 【2020年5月9日追記】 この記事をもとに、全面的に書き直した論文「小説という名の実験―安部公房『砂の女』論」を、文芸批評・文学研究の雑誌『文学+』第2号(凡庸の会、2020年)に掲載しています。 当該雑誌は1200円+送料です。下記フォームよりご注…

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『砂の女』と小説の地平 (四) 『砂の女』の小説体制 ―― 中期の長編小説の地平

『砂の女』と小説の地平 ―― 安部公房の小説について ―― 【2020年5月9日追記】 この記事をもとに、全面的に書き直した論文「小説という名の実験―安部公房『砂の女』論」を、文芸批評・文学研究の雑誌『文学+』第2号(凡庸の会、2020年)に掲載しています。 当該雑誌は1200円+送料です。下記フォームよりご注文ください(在庫…

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『砂の女』と小説の地平 (三) 『砂の女』の叙述 ―― 「デンドロカカリヤ」との比較

『砂の女』と小説の地平 ―― 安部公房の小説について ―― 【2020年5月9日追記】 この記事をもとに、全面的に書き直した論文「小説という名の実験―安部公房『砂の女』論」を、文芸批評・文学研究の雑誌『文学+』第2号(凡庸の会、2020年)に掲載しています。 当該雑誌は1200円+送料です。下記フォームよりご注文ください(在庫…

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『砂の女』と小説の地平 (二) 『砂の女』の意義 ―― 「デンドロカカリヤ」との比較

『砂の女』と小説の地平 ―― 安部公房の小説について ―― 【2020年5月9日追記】 この記事をもとに、全面的に書き直した論文「小説という名の実験―安部公房『砂の女』論」を、文芸批評・文学研究の雑誌『文学+』第2号(凡庸の会、2020年)に掲載しています。 当該雑誌は1200円+送料です。下記フォームよりご注文ください(在庫…

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『砂の女』と小説の地平 (一) 『砂の女』の内容

『砂の女』と小説の地平 ―― 安部公房の小説について ―― 【2020年5月9日追記】 この記事をもとに、全面的に書き直した論文「小説という名の実験―安部公房『砂の女』論」を、文芸批評・文学研究の雑誌『文学+』第2号(凡庸の会、2020年)に掲載しています。 当該雑誌は1200円+送料です。下記フォームよりご注文ください(在庫…

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安部公房「デンドロカカリヤ」の改稿について

安部公房「デンドロカカリヤ」の改稿について  ―― 一人称の存在論から三人称の疎外論へ ―― ※ 「デンドロカカリヤ」初出版の内容の整理 → http://42286268.at.webry.info/201502/article_7.html ※ 「デンドロカカリヤ」初刊単行本版の内容の整理 → http://4228626…

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